院長のひとくちメモ

69. 医療経済について

リウマチの治療はこの10年で格段の進歩を遂げました。生物学的製剤、JAK阻害剤等の登場により炎症、骨破壊を強力に抑制できるようになり日常生活労作を保つ事が出来るようになりました。ところが、これらの薬剤は高額です。

「高額であっても就労可能な年齢層にはこれらの薬剤を使用しリウマチが改善して労働可能になれば薬剤費以上の労働益が得られるので経済効果が有る。したがって、積極的に使用すべきである。一方、労働力のない高齢者には経済的にみれば益が無い」
と講演する教授がおられます。

しかし、高齢者には介護費用が問題となります。特に、寝たきりになると多額な費用が必要となります。介護専門職の意見では、これらの薬剤費よりも寝たきりを作らない方がはるかに経済的との事です。高齢で活動性の高い(痛みの強い)患者さんは短期間で寝たきりになります。適応のある患者さんには年齢にかかわらず諸般の事情が許せば積極的に生物学的製剤を使用すべきと考えます。

リウマチの治療

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